スワップ派のためのFXポートフォリオ
FXでスワップ金利を低リスクで稼ぐための通貨ポートフォリオについてわかりやすく書きます。本業は、某社の現役クオンツです。 保有資格:日本証券アナリスト協会検定会員

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FXの運用とリサーチはもっぱら自己資金のためにやっています。



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ウエイトの基本概念 その6

ウエイトのはなしも6回目です。書いている方も飽きてきましたので、今日でまとめてしまいます。

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前回の表1と表5は、通貨別に分解すると実質同じポジションになることが分ったとおもいます。

表1

通貨ペア

レート

保有単位

AUDJPY

100

10,000

NZDJPY

80

-10,000


表3

通貨ペア

レート

保有単位

AUDNZD

1.25NZD

8,000

AUDJPY

100

2,000

ここで、証拠金180万円のときにそれぞれのレバレッジは、

表1:180万円/180万円=1.0倍
表3:100万円/180万円=0.56倍

となります。

同一通貨をLongとShortで保有して通貨の打ち消し合いがある場合には、別の通貨ペアで実質的に同じポジションを組むとレバレッジが変わってしまいます。

さらにポートフォリオの組入れ通貨ペアが多くなると、ややこしくなってきます。

そのため、自分かどのようなポジションを持っているのかを管理するためには、通貨別のウエイトを計算しておく必要があるでしょう。

製作中の「FX分析ツール完全版」では、通貨の打消し合いを修正したレバレッジや通貨別ウエイトも表示できるようになります。

ところで、表1と表3のポジションのリスクは、どうなるのでしょうか。実質的には、同じリスクになることは、お分かりだと思います。

ところが、リスク分析ツールで計算してみると、異なるリスクの値になります。どのように解釈すればよいのでしょうか。これは、次回以降、「リスクの金額表示」で説明する予定です。

次に、
表5

通貨ペア

レート

保有単位

AUDJPY

100円

8,000

NZDJPY

80

-10,000

 これは、JPYが打ち消し合って0となりますので、通貨別に分解するまでもなく、AUDNZDを8000単位買ったのと同じことになります。

ところで、 「サヤ取り」などと称して
AUDJPYを買いNZDJPYを売りするような類で、高額な有料商材の販売や有料投資アドバイスなどをしているサイトも、ちらほら有るようです。

でも、私たちは、それらがニセモノ情報であるかどうかを判断できるようになりました。 大切なことは、自分かどんなポジションを取っているのか、正しく理解することです。

「サヤ取り」については、ときどき、コメントやメールで質問をいただくことがあります。これは、リスク分析ツールに「2ペア分析」がありますので、まだ、ツールを手に入れていない方は、無料ですのでGetして実験してみてください。

また、「サヤ取り」の基本的な考え方については、何回か先に解説をしようと考えています。そこでは、相関係数が「サヤ取り」の参考にならない例についても話題にしたいと思っています。


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ウエイトの基本概念 その5

前回の続きです。

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次のようなAUDJPYとNZDJPYのポジションを考えました。 
表1

通貨ペア

レート

保有単位

AUDJPY

100

10,000

NZDJPY

80

-10,000


通貨別に分解すると
表2

通貨

レート

保有単位

評価金額

ウエイト

AUD

100

10,000

1,000,000

100%

NZD

 80

 10,000

 ‐800,000

 -80%

JPY

 1円

 -200,000

 -200,000

 -20%

合計 

 

 

 0

 0%

となりました。

ところで、次のポジションを作ったとします。
表3

通貨ペア

レート

保有単位

AUDNZD

1.25NZD

8,000

AUDJPY

100

2,000


すると、このポジションは、表1と実質的に同じポジションとなります。
通貨別に分解してみましょう。

表4

通貨

レート

保有単位

評価金額

ウエイト

AUD

100

8,000

800,000

80.0%

NZD

 80

 10,000

 ‐800,000

-80.0%

AUD

 100

 2,000

 200,000

 20.0%

JPY

1円

-200,000

-200,000

 -20.0%

合計 

 

 

 0

 0%


AUDをまとめると、表2と同じになることは、わかると思います。

ところで、表1、表3のポジションを組んだときに、証拠金を180万円としたときには、レバレッジの値はそれぞれどうなるでしょうか。

また、仮に、
表5

通貨ペア

レート

保有単位

AUDJPY

100円

8,000

NZDJPY

80

-10,000


のポジションを組んだときは、どのように考えればよいのでしょうか。

FXリスク分析ツールを取得した方はいろいろと分析できると思います。
(ただし、レートが異なるので保有単位を調整する必要があります。)

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簡単!多通貨ペアの相関行列の計算方法

分布のはなしは、ちょっと一休み。

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週末なので、たまにはExcelの使い方も書いてみようと思っています。

今回は相関行列の求め方です。この方法、誰でも知っていると思っていたのですが、ネットで調べてみたところ、ほとんど紹介されていないようです。
なぜでしょうか?

知らない人にとっては、びっくりするくらい簡単です。

以前、2ペア間の相関係数はCORREL関数を使えば、簡単に求めることができることを紹介しました。
相関を使ってポートフォリオの標準偏差を計算する

ただ、この方法だと通貨ペアの数が多くなると、とてもめんどくさくなります。

たとえば、7通貨ペアですと、21通りの組合せがありますのでCORRELを21回も使うことになり、シート上でやるのは、とっても大変です。

というわけで、とっても簡単にExcelで相関行列を計算する方法を紹介します。

まず、下準備です。メニューから[ルーツ]-[アドイン]を選択してください。

20080315-1
図をクリックで拡大

アドインの画面でますので、分析ツールにチェックをしてください。(分析ツールがない人は、Excelのインストールでアドインの分析ツールを使うように再設定をする必要があります。)もともと、チェックしてある人は、そのままでOKです。

20080315-2
図をクリックで拡大

次に、相関係数を計算したい通貨ペアのリターン系列を作成します。ここでは、くりっく365採用ペアの100日間の日次リターンでやってみましょう。

リターンデータは、B2:H101まで入っています。7列100行あります。

20080315-6
図をクリックで拡大

データが用意できましたら、メニューから[ツール]-[分析ツール]を選択してください。

20080315-3
図をクリックで拡大

データ分析の画面がでますので、相関を選択します。すると、相関の画面がでます。
この画面にデータの入力範囲と相関行列を出力する範囲をセットします。ここでは、図のようにセットしました。

20080315-4
図をクリックで拡大

OKボタンを押すと、相関行列ができました。

20080315-5
図をクリックで拡大

通貨ペア数が多くても、相関行列なんてExcelで簡単に計算できます。

筆者も、普段とりあえず相関係数行列を見てみたいときは、この方法を使っています。ただ、エクセルアプリに組み込んだりする場合は、VBAで直接プログラムを書きます。


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ボラティリティの増加と相関係数

サブプライムの影響で、通貨のボラティリティは増大しています。
また、リスク回避によるパニック的な相場状況では、通貨間の相関も高くなるために、分散効果も低減します。(これは、株式相場でも顕著に現れます。)

つまり、このような相場状況では、個別通貨のボラティリティ増加と相関係数の高まりの2つの効果が同時に発生するために、リスクコントロールされたポートフォリオでも、その影響を受けリスクがかなり増加します。

マーケットが落ち着くまで、レバレッジを低下させるなどのリスクコントロール対策が必要となるかもしれません。
(ロスチャイルドじゃありませんが、あえて、ポジションを増加させる手もあります。これが成功するとデカイですが、これはインカム狙いのスワップ派のやり方とは異なりますね。)

実際にボラティリティを相関係数がどのように変化するか見てみましょう。

スワップ派のためのFXポートフォリオ別館
”共分散・相関行列作成ツール”


を使って、実際の数値を比較します。

くりっく365採用の銘柄で
4年間で計算した値と直近半年間で計算した値です。

20080131-1
直近4年(1000日)で計算

20080131-2
直近半年(125日)で計算

4年間で計算した値と比較して半年間で計算した値は、標準偏差がかなり大きくなり、相関係数も高くなっています。

他の高金利通貨ではどうなっているか、興味のある人はツールをダウンロードして、いろいろと計算してみてください。

マーケットが通常の状態にもどるまで、直近半年間で計算したような標準偏差や相関係数の状態が続く可能性が高いので、リスクコントロールは慎重に行ってください。

スワップ狙いのFXポートフォリオで長期投資をするからといって、単純に長期のデータのみで計算するのではなく、そのときの相場状況を加味した数値使って、ポートフォリオリスクコントロールの調整が必要になることもあります。


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GARCHによる今年のUSDJPYボラティリティ

ボラティリティ推定の統計モデルであるGARCHで2007年のUSDJPYの日次リターンのボラティリティを推定しました。

GARCH(1,1)を使っています。また、パラメータ推定は1980年からのデータを用いています。
GARCHの詳しい解説は省略しますが、ボラティリティを最適なパラメータを用いた指数移動平均で計算しているようなものです。

以下結果です。比較のために260日の標準偏差も計算しています。

GARCH-USDJPY2007

グラフのボラティリティは日次リターンから計算された数値なので、年率換算する場合は約16倍してください。

GARCHモデルは翌期のボラティリティを推定するモデルなので、大きなリターンが発生するとかなり敏感に反応します。

8月のサブプライムあたりからボラティリティが高い状態を保っているのは、感覚には合っているようには思えます。これは、260日標準偏差と比較するとよくわかります。

2007年の推定ボラティリティ(年率換算)の範囲ですが
               最低    最高
GARCH(1,1)     6.8%  13.8%
STD260         7.3%   9.9%

となっており、GARCHでは最低と最高で2倍以上の差があります。対照的に260日STDではかなり安定しています。

GARCHによる推定ボラティリティの大きな変動は、オプションプライシングや短期的な売買判断には適していると思われますが、長期的なスワップ狙いの運用では、ちょっと使い辛い感じをうけます。

特に、最適化を使ってポートフォリオを組成する場合には、リバランスごとに売買量が多くなりすぎて、単純には使えるようには思えません。もう少し、長期的なボラティリティの傾向をつかむモデルが必要なのでしょう。

他の通貨でのGARCHの結果も見てみたと思う方はクリック
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為替の自己相関係数

自己相関とは、自分自身との相関のことです。といってもまったく同じ数値の相関をとっても1になって意味がありません。

そうではなくて、時間軸をずらして、t時点の数値とt+n(n≧1)時点の数値の相関のことです。

AutoCorr(n) = Corr(Xt,Xt+n)

をXのLag(n)の自己相関係数と定義しましょう。
もし、自己相関が有意に存在すれば将来の予測が出来るということになります。
スワップ派といっても、将来レートが予想できるのに越した事はないので、為替レートでやらない手はありません。

毎度おなじみのUSDJPYでやってみましょう。
1994/3/31〜2007/10/30の日次データをつかって、Lag(1)のレートの自己相関を計算してみます。

結果は0.997

すごい!
ほとんど1だ!完璧に予想しているじゃないか。これでリタイア、南の島で優雅に暮らすぞ。
さて、確認のためにプロット図で見てみよう。

USDJPY Lag1 Rate

相関がほとんど1だと。
ちょっとまてよ、当たり前じゃないか?

昨日のブログで書いたある通り、昨日と今日のレートは近い数値だ。といっているだけだ。

肝心なのはリターンだ!リターンで自己相関を計算してみよう。同じ期間の日次のリターンで計算すると

結果は-0.02

念のためプロットしてみよう。
USDJPY Lag1 Return

そうだよな。そんな簡単に世の中儲かる話はないよな。
残念。

USDJPYのリターンのLag(1)の自己相関は、ほどんど0という結果になりました。つまり、この結果だけからでは「ランダムではない(≒予測ができる可能性がある)」とは言えません。

でも、Lag(2)、Lag(3)・・・・では? また、他の通貨では?もしかしたら何か関係が見つかるかもしれません。興味のある人はやってみてください。

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マージンコールの発生確率 その2

では、計算してみましょう。
必要なパラメータは4つです。

•   確率を計算する期間
•   レバレッジ
•  スワップ金利
•  ポジションのボラティリティ

具体的なペアの方が面白いので、USDJPYとNZDJPYでやってみます。
ボラティリティは様々な計算手法がありますが、ここでは1年間の日次リターンの単純標準偏差の年率換算値とします。

USDJPYのボラティリティ

USDJPY=9.6%
NZDJPY=21.1%
となりました。

NZDJPYは、最近急激にボラティリティが上昇していますので、直近10年間での最高水準に位置しています。

スワップ金利は
USDJPY=4%
NZDJPY=7%
とします。

計算期間は3ヶ月としましょう。つまり、3ヶ月以内にマージンコールが起こる確率を計算することになります。

また、証拠金がどの水準になったらマージンコールが起こるか決める必要があります。業者によって異なりますが、ここでは、実質証拠金が0となった瞬間、つまり、含み損が証拠金と等しくなった瞬間にマージンコールが起こるとします。

この条件で、レバレッジを2倍から100倍まで変化させてみました。結果は下図です。

マージンコール確率

レートは上がるか下がるか、なので、どんなにレバレッジを大きくしてもマージンコール確率は最大50%だ。レバレッジ100倍で勝負!なんて思っていた人はいませんか?

やめましょう。

8〜9割以上の確率で資金を失います。やるとしても1万円で宝くじくらいの感覚でやりましょう。

スワップ狙いなら、NZDJPYでは、レバレッジ3倍以上はやめたほうがよさそうです。ボラティリティが大きいので、レバレッジを少し上げただけで、マージンコールに引っかかる確率がかなり大きくなります。

USDJPYは、7倍くらいまでなら安全そうですね。


追記)
この記事では、評価期間を3ヶ月としていますが、もっと長期で保有する場合、各通貨のボラティリティが上昇した場合には、マージンコール確率は過小評価となる可能性がありますのでご注意ください。



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マージンコールの発生確率 その1

時々、実用的な問題を話題に取り上げることにします。

普通、FX証拠金取引ではレバレッジを効かせていますので、株で言うところの追証、つまり、マージンコールの危険性が常に存在します。

リスク管理の観点からレバレッジは5倍以内に抑えましょう、などとしばしば書かれていますが、実際にはどのくらいのレバレッジが限界なのでしょうか。

それを判断するために、マージンコールが発生する確率が表示できたら便利です。たとえば、

「USDJPYをレバレッジ20倍とすれば、1ヶ月以内にマージンコールが発生する確率はXX%である。」

なんて言えたら便利だしカッコいいですね。というわけで、早速計算してみましょう。と、簡単に書きましたが、結構ややこしい話です。以下の仮定を置いてみます。

• ポジション価値は対数正規分布に従いボラティリティ一定
• ドリフトはスワップ金利として一定
(実はこの仮定、2つともそれなりに問題がありますが、ここでは、これでいいでしょう)

こうすれば、ノックアウトオプションを評価をする方法と同じような考え方で計算することができます。

要するに、ある期間内で一度でもマージンコールが発生する価格に到達する確率を計算することです。導出は結構面倒ですが、これを一発で計算できる式がちゃんと存在します。

ただし、リターンがすその厚い変な分布に従ったり、ボラティリティが変化したりすれば計算式がありませんので、モンテカルロシミュレーションを使って、CPUパワー全開でやる必要があります。

ちなみに、VaR(バリューアットリスク)の考え方ですと、期間の最終時点でのみ評価をします。そのため、マージンコール確率は過小に計算されてしまいますので注意してください。VaRの考え方では、下図の通貨ペアAにはマージンコールは発生しないことになります。
通貨ペアBの場合のみマージンコールが発生したみなしてしまいます。

マージンコール図


明日は、具体的な計算例を示してみます。

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